公開日: 最終更新日: 2025年11月



【実装技術の鍵】コプラナリティ測定とは?QFP・BGAの接合不良を防ぐ非接触検査の重要性

📐【実装技術の鍵】コプラナリティ測定とは?QFP・BGAの接合不良を防ぐ非接触検査の重要性

はじめに

電子機器の高密度化に伴い、ICパッケージのピンや半田ボールのわずかな高さのばらつきが、深刻な実装不良を引き起こす原因となっています。

特にQFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)などの高密度パッケージでは、ミリメートル以下の世界で品質を保証する必要があります。その品質を左右する最も重要な指標の一つがコプラナリティです。本記事では、コプラナリティの定義と、信頼性の高い非接触測定の重要性について解説します。


1. コプラナリティとは何か?

コプラナリティは、電子部品の実装工程における品質を決定づける極めて重要な要素です。

1-1. コプラナリティの定義

コプラナリティ(Coplanarity)とは、ICパッケージの全てのリード(QFPなど)や半田ボール(BGAなど)の接合面における、Z軸方向(高さ方向)の最大高低差のことを指します。

全てのピンの先端が、理想的な仮想の平面(基準面)に対してどれだけ揃っているかを示す指標であり、一般的にIPC(電子回路接続および組立産業協会)などの規格で許容差が定められています。通常、この許容差は数十マイクロメートル(μm)単位で非常に厳しく管理されます。

1-2. 不良が引き起こす深刻な問題

コプラナリティが規定の許容差を超えてしまうと、実装時に以下のような深刻な不良が発生します。

  • 未接合(オープン): 最も高い点または最も低い点が基板のランドに接触せず、電気的な接続が確立しない。
  • 半田ブリッジ(ショート): コプラナリティのばらつきにより、リフロー時に半田が均一に流れず、隣接するピン間で半田が繋がり、ショートする。
  • 信頼性の低下: リードの浮きがわずかにある場合、熱サイクルや振動などのストレスによって早期に疲労破壊(クラック)が発生しやすくなる。

BGAスコープ製品ラインナップはこちらからご覧ください。

2. コプラナリティの測定方法:接触式 vs. 非接触式

コプラナリティを測定する方法は、大きく「接触式」と「非接触式」に分類されます。

2-1. 接触式測定のメリット・デメリット

接触式の測定では、プローブや測定ゲージを用いて、リードやボールの頂点に物理的に接触させて高さを測定します。

メリット 👍 デメリット 👎
  • 比較的シンプルで高精度な測定が可能。
  • 測定プローブによるリードへの傷や変形のリスクがある。
  • 測定ポイントが限られ、全数検査には不向き。
  • 測定時間がかかる。

2-2. 非接触式(光学式・レーザー式)の優位性

非接触式の測定は、主に光学センサーやレーザー変位計または3次元AOI(自動光学検査)装置によって行われます。部品に触れることなく、高速かつ高密度に測定データを取得できます。

  • 部品を傷つけない: デリケートなリードや半田ボールを物理的に傷つけたり、変形させたりする心配がないため、特にリワーク後の品質確認に適しています。
  • 高速・全数検査が可能: 大量のピンを一瞬でスキャンし、すべての対象物の高さを測定できるため、量産ラインでのインライン検査に最適です。
  • 詳細なデータ取得: 高さの数値データだけでなく、3Dプロファイル画像として視覚化できるため、不良の原因特定が容易になります。

BGAスコープ製品ラインナップはこちらからご覧ください。

3. QFP/BGAにおけるコプラナリティ検査とマイクロスコープ

非接触測定装置が高精度な数値データを提供する一方で、マイクロスコープは、特にQFPパッケージやリワーク後の目視検査において、原因究明やフィレット形状の確認に不可欠です。

3-1. QFP(四方リードパッケージ)の検査

QFPリードのコプラナリティ不良は、リードの曲がり(キンク)やねじれなど、様々な要因で発生します。

リフロー前の数値測定はもちろん重要ですが、リワークや手実装後の確認では、BGAスコープ例:当社のMS-1000AシリーズにQFPプリズムを使用)を用いて、リードの根元から先端までの浮き上がりや、リフロー後の半田フィレットの形状を側面から直接目視観察することが、確実な品質判断のために非常に有効です。

3-2. BGA(ボールグリッドアレイ)の検査

BGAのコプラナリティは、ボール自体の高さのばらつきが問題となります。

リフロー前に非接触式測定を行い、ボールの頂点高さの最大高低差を測定し、規定の許容差内に収まっているかを確認します。また、実装後のBGAの接合状態(フィレット、ブリッジ、ボイドなど)の確認には、BGAスコープやX線検査が併用されます。


BGAスコープ製品ラインナップはこちらからご覧ください。

まとめ

コプラナリティ測定は、電子部品の実装不良を防ぎ、製品の長期的な信頼性を確保するための「入り口」となる最重要検査項目の一つです。

  • コプラナリティ: 接合面のZ軸方向の最大高低差。
  • 非接触測定: QFPやBGAの数値的な品質保証に不可欠。
  • 目視観察: QFPリードの浮き上がりやリワーク後のフィレット形状確認には、BGAスコープのような側面観察が有効。

高密度実装の時代において、測定技術と目視検査を組み合わせた最適な検査戦略を立てることが、歩留まり向上と不良品ゼロに繋がります。

BGAスコープ製品ラインナップはこちらからご覧ください。

 

お問い合わせ

Pagecontact
Pagetop